イルミナティカードに秘められた思想
KKK(クー・クラックス・クラン)
上の画像はイルミナティカード 『KKK(クー・クラックス・クラン)』であり、すぐ下にあるのはルーン文字のアルファベットです。
『KKK』はアメリカの秘密結社であり、代表的な白人至上主義団体です。
偶然かどうか、『KKK』もルーン文字に照らし合わせると、ヨハネ黙示録の『666(獣の数字)』となります。
ルーン文字とは昔のゲルマン人の文字であり、『k』に当たる音が6番目に置かれています。
これは古英語において『cén(ケン)』と読み、『松・松明』を意味するそうです。
カードの絵柄にある通り、『KKK』は燃える十字のたいまつを手にすることがあるそうなので、『KKK』とゲルマン系の宗教・思想にはなんらかの関わりがある可能性も考えられます。
また、アドルフ・ヒトラーはアーリア人種至上主義――ヒトラーの認識ではアーリア人=白人――を掲げていましたが、陰謀論動画『アングロサクソン・ミッション』でも、人口削減計画は白人至上主義者たちの計画といわれています。
現代では、(表向き)否定されている『人種主義』ですが、こうした思想は(人口削減計画を進めるような)支配層の間では当たり前の認識になっているのかもしれません。
𒉡画像引用 STEVE JACKSON GAMES、Wikipedia
Druids(ドルイド)
𒉡画像引用 STEVE JACKSON GAMES
『イルミナティカードとアーリア主義』とタイトルをつけた今回の記事は、イルミナティカードを主要テーマにしたシリーズの第2弾となります。
※イルミナティカードの概要について知りたい場合は、以下の記事よりご確認ください。
(該当の章⇒イルミナティカードについて)
本タイトルについて――
「アーリア主義ってなに (・∀・)?」
――という疑問を持つ読者の方もいるでしょう。
アーリア主義(より正確には『アーリア人種至上主義』)と聞いてもピンと来る人は少ないと思われます。
しかし、『白人至上主義』ならどうでしょうか。
これは、白色人種(白人)が有色人種よりも優れているという理念であり、この言葉を耳にした人は多いでしょう。
有名なところでは、アメリカの秘密結社『KKK(クー・クラックス・クラン)』が、白人至上主義の代表的な団体として紹介されることがあり、それ故かどうか(?)『KKK』はイルミナティカードにも取りあげられています〈注:左画像参照〉。
アーリア人種至上主義とは、上記の要素を含んだ思想です。
厳密には、アーリア人と白人は同一というわけではありませんが、19世紀後半から一定の期間にかけて、『白人=代表的なアーリア人』と主張される類の学説が広く信じられていたようです(詳細は次回以降にて解説)。
現在までに存在する白人至上主義といわれる団体は、少ならからず、この古い学説の影響を受けている可能性があるでしょう。
イルミナティカードは、しばしば陰謀論と結びつけられています。そして、陰謀論と言うと、ユダヤ陰謀論ばかりに目が行きがちですが、実はアーリア人種至上主義も重要な要素となっています。
例えば、『新型コロナウイルス』の出現を予言したといわれ、有名になったYouTube動画『アングロサクソン・ミッション(⇒該当の動画はこちら)』――この名称は、いわゆる支配層が企てている(とされる)人口削減計画を指しているのですが、アングロサクソンとは、当然ながらユダヤ人のことではありません。
アングロサクソン(アングロ・サクソン)人とは、3つのゲルマン系部族――アングル人・ジュート人・サクソン人の総称です。
ゲルマン系である以上、アングロサクソンはドイツ起源なのですが、上記3つの部族が5世紀頃にドイツ北岸からグレートブリテン島南部に侵入――この中のアングル人がイングランドの基礎を築いたので、現在でも『イギリス・アメリカなどの英語圏の白人』がアングロサクソンと呼ばれているそうです。
つまり、アングロサクソン・ミッションとは、英語圏の白人支配層による人口削減計画を意味することになります。
アングロサクソン・ミッションよりも古いですが、これと関連がありそうな話もあります。
1978年頃、イルミナティを離脱したという『ジョン・トッド(John Todd)』という人物は――
イルミナティは、ケルト人の宗教の司祭であるドルイドのグループ『グランド・ドルイド評議会』によって管理されており、ユダヤ人は人々の注意を逸らすためのフロント役にされている
――という旨を語っていました。
奇しくも、イルミナティカードには『Druids(ドルイド)』のカードもありました。
そして、ケルト人も基本的に白人〈注1〉と考えられています。
ジョン・トッドの話だけでは個人が語っているに過ぎないことですが、後に知られたアングロサクソン・ミッションという動画によって、彼の発言の信憑性は高まってしまいました。
アングロサクソンとケルトは、いずれも『古い定義のアーリア人(=インド・ヨーロッパ語族)』に属しています。
そういう点を考えると、アングロサクソン・ミッションとジョン・トッドの話は、陰謀論の核心に迫っている可能性も考えられるでしょう。
※ちなみに、現在(2022年7月時点)ウクライナに対して軍事侵攻を行っているロシアのプーチン氏(現時点の大統領)も、アングロサクソンを敵視〈注2〉しているようです。
これからいくつかのイルミナティカードを取りあげ、そこに秘められたアーリア的な意味を探っていきたいと思います。
そこには、我々が見逃しがちな陰謀論を探る鍵、そして常識を超えた秘密が隠されているのかもしれません。
【注釈 1~2】
■注1 基本的にケルト人も白人
ギリシャ人とローマ人は、大陸のケルト人について「背が高く金髪(あるいは赤みのかかった髪)で肌が白い」と表現していた。
しかし、『島のケルト(イギリスの地域のケルト人)』に関しては、白人ではないという説がある。
■注2 ロシアのプーチン氏(現時点の大統領)も、アングロサクソンを敵視
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから2日後の2022年2月26日、ロシア国営通信が勝利を祝う内容の記事を配信した後、すぐに削除したという。
この記事を読むと、プーチン氏がアングロサクソン(英米)を敵視している様子が窺える。
Hammer of Thor(トールのハンマー)
Hammer of Thor
𒉡画像引用 STEVE JACKSON GAMES
トールとルーン文字
𒉡画像引用 Wikipedia
『Hammer of Thor』のルーン文字
卍(スヴァスティカ)
𒉡画像引用 Wikipedia
黒い太陽(左)
黒い太陽 + トールのハンマー(右)
『黒い太陽(The Black Sun/ドイツ語:: Schwarze Sonne)』はナチスで採用され、後にネオナチでも取り入れられたシンボルです。
このシンボルが最初に登場したのは、ナチス・ドイツの親衛隊長官『ハインリヒ・ヒムラー』によって買い取られた古城『ヴェヴェルスブルク(Wewelsburg)』の一室『親衛隊大将の間(Obergruppenführersaal)』の床に描かれたものです。
そのデザイン自体に名称があったのか、そして親衛隊の中で特別な意味を持っていたのかは不明のようです。
なお、右の画像は『黒い太陽』と『ハーケンクロイツ』と『トールのハンマー』を組み合わせたシンボルです。
英語サイトを調べたところと、『黒い太陽』と『トールのハンマー』を重ねたデザインの服やアクセサリーなどが確認できました。
※そのような製品が販売されているということです。
ほとんどの日本人が知らないだけで、欧米では両者はセットで考えられる傾向があるのかもしれません。
𒉡画像引用 Wikipedia 、Dorinda Balchin
イルミナティカードとアーリア主義の関係を考察するうえで 『Hammer of Thor(トールのハンマー)』に注目してみました。
トールのハンマーとは、北欧神話に登場する戦神『トール』が振るう槌『ミョルニル』のことです。
北欧神話の最強神と謳われるトールは、この武器を用いて多くの敵を打ち破ったと伝えられています。
一方、この槌は単なる打撃武器ではなく、蘇生の霊力がある〈注3〉とされ、骨さえ無事なら生き返らせることもできたとか。
このようなトールの武器が、イルミナティカードに描かれた意味はなんでしょうか。
This mystic artifact can act once per turn, its action can be used to icrease the Power of any Govermment or Violent group by 2, either to make any attack or to defend against an Attack to Destroy.
この神秘のアーティファクトは1ターンに1度だけ行動することができ、その行動はあらゆる政府または暴力集団のパワーを2増加させ、あらゆる攻撃を行うか、破壊攻撃を防御するために使用することができる。
カード文には、ゲーム上におけるカードの効力のことばかりが書かれており、特に意味深な内容はありません。
ただ、絵の右下にはルーン文字と思しきものが描かれています――これは、なにを意味するのでしょうか。
トールの武器がモチーフになっているカードなので、ブログ主はトールに関係するルーン文字なのかと思いきや、違っていました。
直接的にトールに関わるルーン文字は『ᚦ(ソーン/スリザス) 』〈注4〉とされているそうです。
『実用ルーン占い』という書籍によると、この文字については以下のことが記されていました。
𒅆『ᚦ(ソーン/スリザス) 』の代表的な意味
②雷神トール、またはトールのハンマー(ミョルニル)
③トゲ、イバラ
②の意味を基準に考えるなら、『ᚦ(ソーン/スリザス) 』はこのイルミナティカードに相応しいルーン文字といったところでしょう――しかし、実際に描かれたルーン文字は『ᚦ(ソーン) 』ではありません。
それは『 ᛋ(シゲル/ソウェイル) 』と『ᚱ(ラド/ライゾ)』という2つのルーン文字でした。
『 ᛋ(シゲル) 』は太陽、『ᚱ(ラド)』は車輪を表わします。
北欧神話の関連で考えると、このルーン文字に最も相応しい存在としては、太陽の女神『ソール』が妥当なところだと思われます。
同神話では、ソールが馭者となり『アールヴァクとアルスヴィズ』という馬に『太陽の車』を引かせているとされているからです。
それなのに、なぜこのイルミナティカードでは、トールのハンマーに対して『 ᛋ(シゲル/ソウェイル) 』と『ᚱ(ラド/ライゾ)』のルーン文字が当てられたのでしょうか。
その答えを探るには、上記のルーン文字を『(馬に引かれた)太陽の車』ではなく『日論』として解釈する必要があるでしょう。
世界各地では、古くから『太陽』または『日論』の象徴とされたものに『卍/まんじ(サンスクリット語:svastika/スヴァスティカ)』があります。
ドイツの実業家・考古学者である『ハインリヒ・シュリーマン(ドイツ語: Johann Ludwig Heinrich Julius Schliemann)』はトロイ(イリオス)の遺跡の中で『卍』を発見し、これを古代におけるインド・ヨーロッパ語族の共通の宗教的シンボルと見なしたとか。
実際のところ、『卍』はインド・ヨーロッパ語族に限らず、メソポタミアやインダス文明などの遺跡、さらにはアフリカや南アメリカの文明でも確認されたので、まさに古代世界における普遍的なシンボルといえるでしょう。
そして、この『卍』は北欧神話のトールにも関係しているのです。
アイスランドの魔道書には『卍』のシンボルが『トールのハンマー』に対応するものとして記載されているそうです。
また、イギリスの民俗学者『ヒルダ・エリス・デビッドソン(Hilda Ellis Davidson)』は、古代ゲルマン民族の間では『卍』が『トールおよびトールのハンマー』に関係があった可能性があるという説を唱えているとか。
※トールは雷神であると同時に『太陽』と『雨』という恩恵をもたらすため。
つまり、トールには雷神だけではなく太陽神としての要素もあった――ということになりますが、このような神話学的・オカルト的に深い意味を、なぜイルミナティカードに含めたのでしょうか。
上記の可能性として考えられるのが、ナチスとの関係です。
有名な話ですが、ナチスでは『卐(逆まんじ)』を斜めに傾けた『ハーケンクロイツ』がシンボルとされました。
また、1990年代以降になると、ネオナチや白人系ナショナリストの間において『黒い太陽』というシンボルが使われていますが、現代の極右団体はこれを『日輪(英語:sun wheel/ドイツ語:Sonnenrad)』と呼んでいるそうです。
※ウクライナの極右国家警備隊『アゾフ連隊』も、このシンボルを掲げていました。
『Hammer of Thor(トールのハンマー)』の効力が、政府や暴力団体のパワーを増大させることを含めて考えると、おそらく、このカードは白人至上主義的な神秘思想やそれに関係するシンボル〈注:左画像参照〉を表わしているのかもしれません。
そのために、わざわざ北欧神話の神を持ち出した理由としては、アメリカではナチスやネオナチに関係するものを直接的に表現するのは難しいということでしょうか。
同時に、トールという比較的人気のある神を、ナチス(あるいはネオナチ)と関連づけるようなカードとして取り上げたということは、イルミナティカードの世界観を考察するうえでも参考になりそうです。
このカードゲームにおけるイルミナティが、どんな思想を秘めているのかということについて……。
では、『その1』はここまでとし、次回はさらにイルミナティカードとアーリア主義の関係について深掘りしたいと思います。
【注釈 3~4】
■注3 この槌は単なる打撃武器ではなく、蘇生の霊力がある
トールの槌『ミョルニル』は相手を打つためだけに使われるものではなく、トールの戦車を引く2頭の牡山羊(タングリスニとタングニョースト)を食べても(骨さえ無事なら)ミョルニルを振るえば生き返らせることができたという。
また、バルドルの葬儀の際、火葬するための火を浄化するためにも用いられた。
■注4 ルーン文字は『ᚦ(ソーン/スリザス) 』
ルーン文字について、前者はアングロサクソン系の読み方、後者はゲルマン系の読み方となっている。
上記の例で言えば、『ソーン』がアングロサクソン系、『スリザス』がゲルマン系の読み方となる。
参考・引用
■参考文献
●アーリア神話 レオン・ポリアコフ 著 アーリア主義研究会 翻訳 法政大学出版局
●アーリヤの男性結社―スティグ・ヴィカンデル論文集
スティグ・ヴィカンデル 著、前田耕作 編集、 Stig Wikander 原著、檜枝陽一郎 訳、与那覇豊 訳、中村忠男 訳 言叢社
●エッダ―古代北欧歌謡集 谷口幸男 翻訳 新潮社
●いちばんわかりやすい 北欧神話 杉原梨江子 監修 じっぴコンパクト新書
●実用ルーン占い ルーン魔女KAZ 著 出版処てんてる
●ルーン文字入門 無極庵・くじら神殿
●RUNELORE Edred Thorsson 著
●シークレット・ドクトリンを読む ヘレナ・P・ブラヴァツキー 著 東条真人 翻訳 トランス・ヒマラヤ密教叢書
●北極の神秘主義 ジョスリン・ゴドウィン 著、松田和也 翻訳 工作舎
■参考サイト
●Wikipedia
●WIKIBOOKS
●Wikiwand
●Weblio辞書
●ニコニコ大百科
●ピクシブ百科事典
●コトバンク
●goo辞書
●RollingStonejapan.com
●henrymakow.com
●Dorinda Balchin
●ルーン文字
●バラティヤ・ダルシャン
●日本放送NEWSONLINE