もう1つのグラス
『アングロサクソン・ミッションとUFO その13』は、『その12』の記事に引き続き『時間』がテーマとなります。
前回では、支配層が『ルッキンググラス(Looking Glass)』と呼ばれる未来予知装置を使用していることについて取り上げました。
※上記については『プロジェクト・キャメット』の動画『Above & Beyond Project Looking Glass』より引用。
正直に言うと、『ビル・ウッド(Bill Wood)/ビル・ブロックブレーダー(Bill Brockbrader)』という人物が語ったこの話について、ブログ主は「そんな都合のよい物があるのか?」と疑念を抱いていました。
陰謀論界隈で噂されるルッキンググラスとトランプ元大統領、そして二コラ・テスラを結び付ける話〈注1〉にしても、(ビル・ウッドによりルッキンググラスの話が語られた)2012年時点では全く話題になっていません。
この話について、ブログ主は少なからず(『Qアノン』辺りが創作した)『後付け設定』的な印象を受けました。
ただ「権力者は未来を見る能力を持つ」という話は、ある神話でも言及されていたので、ブログ主はオカルト的な方向性でビル・ウッドの話に興味を持ちました。
つまり、ルッキンググラスという超ハイテクなコンピューターは存在しなくとも、(「時間を見る」という点において)『似たような役割を果たすもの』があるのではないかと考えたのです。
※この場合、ビル・ウッドがルッキンググラスをコンピューターだと言ったのは、重大な秘密を隠すための『ミスリード』という解釈をします。
英和辞典から『Looking Glass(ルッキンググラス)』を調べると、『鏡』という意味を確認できます。
一方、『Glass(グラス)』だけの意味としては、ガラス(製品)の他に(容器として)『コップ』『グラス』も指し、ブログ主はこちらに注目してみました。
そして、これから述べるのは神秘的な力を有したグラス――『聖杯』のお話となります。
今回も、陰謀論動画『アングロサクソン・ミッション』とは直接的な関係のない話となります。
ただ、聖杯は陰謀論――特にイルミナティ関連――においてしばしば登場するキーワードであり、これを考察することにも意味はあるかもしれません。
なぜ、支配層の時間能力――過去・現在・未来の時空を認識する能力――を追う上で聖杯を取り上げるのか?
その理由を知りたい方は、次章にお進みください。
【注釈 1』
■注1 ルッキンググラスとトランプ元大統領、そして二コラ・テスラを結び付ける話
(ビル・ウッドが発信源ではないが)陰謀論界隈では、ルッキンググラスは『コンピューター』――つまり機械だと思われており、これはニコラ・テスラが開発していた『未来透視装置』と、(ロズウェル事件などで墜落した)『UFOの運転席にあった椅子(超能力を増幅する作用があるらしい)』を元に開発されたという話もある。
上記に関連し、ドナルド・トランプ元大統領の叔父『ジョン・ジョージ・トランプ(John George Trump)』とニコラ・テスラの関係もクローズアップされるようになった。
トランプ元大統領の叔父は、アメリカの電気技術者・発明家・物理学者であり、当時における最先端のレーダー開発に関わった人物として知られている。
ジョン・トランプとテスラの接点は、第2次世界大戦中となる1943年でのことだ。
『デス・レイ(Death Ray/殺人光線)』を開発していたとされるテスラが亡くなった後、連邦捜査局の命令により、彼の所有物が接収・調査されることになった――その際、調査における評価・分析に携わったのがジョン・トランプである。
つまり、ジョン・トランプは晩年のテスラの研究内容をよく知っていたことになるが、彼はテスラの論文について「粒子線の兵器を作るための十分な情報は含まれていない」と評価したそうである。
ただ、テスラの研究は軍事に関わることだ。実際に彼の資料に重要な情報があったとしても、安易にそれを口にすることはないだろう。
一説によると、ニコラ・テスラは一種のタイムトラベルを体験したといわれている。
1895年3月のこと――高圧電力を使用する実験の際に、誤って350万ボルトの電流がテスラの右肩を直撃した。
助手が機転を利かせ、電流を即座に切ったので、テスラは後遺症を負うほどの怪我は負わなかったが、この時、彼の精神は『時空連続体』を外れ、『近接の過去』『現在』『近接の未来』を同時に見ることができたという。
テスラがこの時の体験について研究を進め、遺稿として残していたら、それがジョン・トランプの目に留まった可能性はある。
テスラに関してこのような情報があるためか、アメリカはタイムトラベルについて研究していると噂されるようになり、『The Montauk Project: Experiments in Time』という暴露本も出版された。
この本には極秘実験『モントークプロジェクト(1971~1983年)』のことが言及されていた。
モントークプロジェクトでは、タイムトラベル・テレポーテーション・マインドコントロールなどを含む実験が行われたという。
モントークプロジェクトにテスラの研究が関わっていたと仮定するなら、「(テスラの未発表資料を読んでいたジョン・トランプを通じて)ドナルド・トランプもタイムトラベルの話を知っていた」、さらにこれが発展して「大統領となった後(?)、トランプもルッキンググラスを使っていた」という『筋書き』を作ることも可能になる。
モントークプロジェクトに纏わる話は数多く、関連情報を全て消化するのはかなりの労力が必要となるだろう。
このプロジェクトの各種情報においてブログ主が気になったのは、実験のために『モントーク・ボーイ』と呼ばれる『金髪碧眼の超能力を持った子供たち』が集められていたという話である。
『モントーク・ボーイ』は『モントーク・チェア(超能力を増幅する作用がある椅子)』という特殊な椅子を使い、サイキックパワー(思念の力)を有した彼らのイメージ力を大電力で増幅――これをマインドコントロールに使っていたとか。
上記の話は荒唐無稽に見えるが、エプスタイン事件の発覚により、少なくともアメリカにおいて子供の人身売買があったことは事実である。
また、マインドコントロール云々の話も、科学的に説明しようしている割にその実態は呪術と変わりがないといえるだろう。
そして、ジェフリー・エプスタインが個人所有していたリトル・セント・ジェームズ島では、恐ろしい虐待や殺人、そして呪術的儀式が行われていたという話もある。
ということは、ルッキンググラスにせよ、モントークプロジェクトにせよ、これらの『壮大な話』は、別の犯罪行為を晦ますために仕掛けられた『ミスリード用の陰謀論』なのかもしれない。
イランの聖杯伝説
ジャムシード(イマ)
●画像引用 Wikipedia
アフラ・マズダー
●画像引用 Wikipedia
ザッハーク
イラン神話の暴君――ザッハークの原型はゾロアスター教の聖典『アヴェスター』に記された3頭3口6目の竜蛇の怪物『アジ・ダハーカ』であり、その影響を受けてザッハークも両肩に蛇を生やした姿〈注6〉とされました。
ジャムシードの領土を奪い取ったザッハークは、最初は民衆から歓迎されましたが、それは一時のこと――やがて彼は民衆を恐怖のどん底に陥れました。
というのも、ザッハークの蛇が餌としたのは人間の脳であり、毎日2人の若者が生贄として捧げられたからです。
この物語を読んだ時、ブログ主は陰謀論で言及される地球外生命体『レプティリアン』を連想しました。
レプティリアンは子供の血や脳を好んで食べるとか。
また、レプティリアンの血を引くと噂される支配層やその配下のエリートたちは、子供の脳(松果体)から若返りのエキスを採取しているという話もあります。
上記の陰謀論が事実だとしたら、支配層もザッハーク(蛇人間)と同類の怪物といえるでしょう。
●画像引用 Grimorio de bestias
聖杯というと、キリスト教に関連した『聖杯伝説』の方を思い浮かべる人も多いでしょう。
伝承によると、イエス・キリストの血を受けた杯には『病気平癒』『不老不死』などの効能があるとか。
聖杯伝説の元ネタの1つは、ケルト神話におけるドルイドの神『ダグザ』が所有する『ダグザの大釜』だといわれています。
この大釜には「無限に食料を生み出す」、あるいは「死者をこの釜で煮ると復活する」という伝承があるそうです。
ただ、今回取り上げるのは『キリストの聖杯』でも『ダグザの大釜』でもありません。
それは、イラン(ペルシア)にて伝えられている『ジャムシードの聖杯(ジャムの酒杯)』です。
『キリストの聖杯』と『ジャムシードの聖杯』――この2つの聖杯伝説には類似点もあり、無関係ではないかもしれません。
『ジャムシードの聖杯』が言及されているのは、10世紀から11世紀頃に成立した叙事詩『シャー・ナーメ(王書)』、あるいは11世紀の詩人ウマル・ハイヤームの作品『ルバイヤート(四行詩集)』などです。
一方、キリスト教系の聖杯伝説に関する最初の記述は12世紀に見られたとか。
聖杯伝説の形成には(『ダグザの大釜』も含め)複数の神話・伝承〈注2〉が関わっていますが、その1つとして『ジャムシードの聖杯』も少なからず影響を与えた可能性はあるでしょう。
イランの伝承に登場する『ジャムシード(ペルシア語:Jamshīd)』とは、イラン最古の王朝『ベーシュダード王朝』における王の1人です。
『シャー・ナーメ』より成立が古いゾロアスター教の聖典『アヴェスター』では『イマ・クシャエータ(アヴェスター語:Yima xšaēta)〈注3〉』と呼ばれており、彼の話は『その4』の記事でも触れました。
この人物は、神話的には旧約聖書の『ノア』、シュメール神話の『ジウスドゥラ』、アッカド神話の『ウトゥナピシュティム』、インド神話の『マヌ』などと同じ役割を担います。
すなわち、神より世界の破滅について警告を受けながらも、その助言を得て生き残った人物というわけです。
※ジャムシードにとっての神は、ゾロアスター教の神『オフルマズド(=アフラ・マズダー)』です。
そんなジャムシードは、不思議な酒杯を所有していたと伝えられています。
杯の内側には、7つの天界・7つの星・7つの海などが描かれた7つの輪が彫刻されており、杯を満たす『不老不死の霊薬』を覗くと、『全世界の過去・現在・未来』が映し出され、深淵な真実を知ることができたとか。
つまり、『ジャムシードの聖杯』とは神話世界におけるルッキンググラスだったのです。
ジャムシードの統治は約700年(アヴェスターの記述では約900年)に及んだそうですが、それには聖杯に秘められた予言の力も貢献したのです。
※この伝承は、「支配層はルッキンググラス(未来予知装置)を使っていた」というビル・ウッドの話と被ります。
全世界の王として、ジャムシードは理想的な統治を行ったとされていますが、晩年にはその偉業を誇り、自らを創造主と呼ばせたので『神の恩寵〈注4〉』を失ってしまいました。
このことによりジャムシードは弱体化すると、両肩に蛇を生やした王『ザッハーク』の侵攻を受けて敗北――彼は中国の海岸まで落ち延びましたが、最期は鋸で殺されてしまいました。
物語はこの後も興味深い展開が続くのですが、(残念ながら)今回取り上げるべき内容ではないので、話を『ジャムシードの聖杯』に戻します。
先述した通り、『ジャムシードの聖杯』は世界各地の神話でしばしば見られる『不老不死の霊薬』に関連したアイテムです。また、それに加えて『超常的な認識能力』をもたらすという効能まであるとされています。
まさに『神器』といえる聖杯ですが、『シャー・ナーメ』や『ルバイヤート』などが書かれたのは10世紀から11世紀であり、この頃のイランはイスラム系王朝の時代に入っていました。
その内容は古い伝承を参考にしているものの、一神教の教義に抵触しないよう改変がなされていたのです。
では、『ジャムシードの聖杯』のルーツとはなんなのか?
それは、『アーリア人(インド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派の民族)』が、インドとイランに分化する以前の古い時代〈注5〉まで遡ることができます。
この時代には、霊薬とされた『ある飲料』がありました。
【注釈 2~6】
■注2 聖杯伝説の形成には(『ダグザの大釜』も含め)複数の神話・伝承が関わっている
『ダグザの大釜』や『ジャムシードの聖杯』の他に、聖杯伝説の形成に関わっているのではないかと思われる物語は、『魔女ケリドウェン』の伝説である。
ケリドウェンは『月の女神』とも『冥界の女神』ともされ、『魔力を有する大釜』を所持していた。
その釜で1年と1日材料を煮立てて調剤すると、3つの叡智――世界最高の『智恵』『霊感』『学問』――が得られる3滴の魔法薬が作ることができたという。
上記の霊薬に極めて近いのが、北欧神話における『詩の蜜酒』である。
『詩の蜜酒』は、「飲めば詩人や学者になり、あらゆる情報を物語ることができる」といわれている。
知識が得られる霊薬という点において、この2つの神話は『ジャムシードの聖杯』と関係しているのかもしれない。
■注3 イマ・クシャエータ(アヴェスター語:Yima xšaēta)〈注3〉
『イマ・クシャエータ』とは『輝けるイマ/王たるイマ』という意味である(クシャエータには『光輝く』あるいは『王』という意味がある)。
イマは太陽王と考えられていたが、インド神話ではヤマと呼ばれ、冥界の支配者とされた――ヤマは漢音では『閻魔(えんま)』となる。
一般的に知られている『閻魔大王』とは、『古代ペルシア神話におけるイマ=インド神話におけるヤマ』をルーツとする。
■注4 神の恩寵
伝承では、神の恩寵は『クワルナフ(光輪)/カウィの光輪』と表現されている。
クワルナフは『大地の支配者の証』とされ、歴代の王はアフラ・マズダーよりこれを授かったという。
■注5 『アーリア人(インド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派の民族)』が、インドとイランに分化する以前の古い時代
アーリア人は、(アーリアン学説の影響により)インド・ヨーロッパ語族の諸言語を使う全ての民族と同義として用いられることもあるが、より正確には以下とされている。
インド・ヨーロッパ語族の故郷としては『クルガン仮説(ロシア・ウクライナ南部を故郷とする説)』と『アナトリア仮説(アナトリア半島を故郷とする説)』があり、近年の研究ではクルガン仮説の方が優位になっている。
インド・ヨーロッパ語族の祖先は世界各地に移動し、その一部が中央アジアのステップ地帯に辿り着いた。
この地域を出自とし、南はインド亜大陸、西は中央ヨーロッパ、東は中国の西部まで拡大したインド・ヨーロッパ語族のグループが『広義のアーリア人』とされた。
一方、『狭義のアーリア人(イラン・アーリア人)』は、トゥーラーン(ペルシア語で中央アジア付近の地域)を出自とするグループとされた。
『広義のアーリア人』には『インド・アーリア人』『ペルシア人』などが含まれており、彼らがイラン方面とインド方面で分化する以前は、共通の宗教観と宗教儀式を共通していたと思われる。
■注6 ザッハークも両肩に蛇を生やした姿
叙事詩『シャー・ナーメ(王書)』に登場するザッハークは、最初から蛇人間だったわけではない。
彼が変貌していく様子は以下のように伝えられている。
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ザッハークは砂漠の民(アラブ)の王『マルダース』の息子だった。
マルダースは寛大で正しい人物とされ、世界はまだ平和だったが、悪魔イブリースが王子だったザッハークに近づき、父王を殺害して王位を簒奪するよう唆した。
ザッハークは誘惑に負け、悪魔が語る計画のままにマルダースを落とし穴に落として殺害した。
こうしてザッハークが王になった後、悪魔は若き料理人の姿に化け、彼のもとを訪ねて雇ってもらった。
この頃の人々は菜食中心の生活を送っていたが、悪魔はザッハークに肉食や血を飲むことをすすめると、自身はあらゆる種類の鳥や動物を美味に調理し、ザッハークを肉食に慣らさせていった。
毎日異なる美食を出す料理人を気に入ったザッハークは、望みのものを褒美として与えると言った。
すると、悪魔が望んだのは「ザッハークの肩に口づけし、そこに目を顔を押し当てること」だった。
ザッハークはこの願いの意図に気づかず、肩への口づけを許すと、その直後に料理人は消えてしまい、続いてザッハークの両肩から蛇が生えてきた。
肩の蛇は何度切っても生えてきてしまうので、国中の(医者と呪術師を兼ねる)名医が集まり、あらゆる治療や呪術を試みたが、この奇妙な病気は治せなかった。
そんな状況の中、悪魔が今度は医者の姿に化け、ザッハークの前に現れた。
医者が「人間の脳味噌を餌として与え続ければ、いずれ蛇が死に至るかもしれない」と進言すると、他に手段が思い付かないザッハークとしては、そのようにするしかなかった。
ジャムシードから王位を奪ったザッハークは、最初は民衆から歓迎されたものの、やがて若者を喰らう王として恐れられるようになった。
毎夜、料理人は王の宮殿に若者を2人――時には卑しい身分の者、時には高貴な血筋の者――を連れてきては彼らを殺害し、ザッハークの蛇の餌となる料理を作るのであった。
また、ザッハークはジャムシードの2人の娘を自身の後宮に入れると、彼女たちに背徳・殺人・略奪・魔術などを教え、邪悪な道に引き摺り込んでいった。
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このような邪悪な王として知られたザッハークだが、その在位はジャムシードより長い1000年に渡ったとされる。
ザッハークの権力も永遠ではなく、彼は英雄『フェリドゥーン』に討伐された。
フェリドゥーンは、ザッハークをダマーヴァンド山の洞窟に幽閉し、さらに鉄の杭と鎖で動きを封じたという。
『シャー・ナーメ』におけるザッハークには、アラブ人に対するイラン人の感情が反映されているのは間違いないだろう。
ただ、ザッハークの原型であるアジ・ダハーカは、メソポタミア――特にバビロニアと関連があるといわれ、(神話において)アジ・ダハーカは千の魔法を操り、敵対者を苦したという。
ザッハークの父親が『マルダース』という名前になっているところも、バビロニアとの関連を窺わせる。
バビロニアの国家神は『マルドゥク』という(上記と似た)名前であり、この神は呪術の神でもあるからだ。
ただ、マルダースは寛大で正しい人物とされているので、アッシリア――メソポタミアの覇権を巡ってバビロニアと戦った国家――も、アジ・ダハーカとザッハークの像として反映されているのかもしれない。
※より苛烈な統治を行ったのは、バビロニアではなくアッシリアの方である。
バビロニアとアッシリア――いずれかの影響が強いかはともかく、少なくともアジ・ダハーカには呪術性が強かったメソポタミア文明の影を背負っている部分がある。
言い換えるなら、イラン神話における善玉(ゾロアスター教側)の登場人物がアーリア系なのに対し、悪玉のアジ・ダハーカは『セム人(セム族)』――シュメール人の後を受けてメソポタミア文明を担った民族――を象徴しているのかもしれない。
ザッハークの物語から窺える『人間の生贄』についても――『バアル崇拝』で知られた古代パレスチナ(カナン)地域ほど数多く伝えられているわけではないが――おそらくメソポタミアにおいて行われていた人身御供儀式のことを反映しているのではないだろうか。
聖杯の正体
ガオケレナ
画像は、イラン北西部にあるテペ・マルリク遺跡より出土した『リュトン(器の一種)』に描かれた『生命の木』です(イラン国立博物館にて所蔵)。
ゾロアスター教の伝承では、『ガオケレナ』と呼ばれる『生命の木』が言及され、この木の実から『不死の霊薬(=ハオマ)』が作られたそうです。
このような『生命の木』の伝承は世界各地で見られ、ハオマと同一の起源であるソーマの原料を推測する上でも参考になるかもしれません。
●画像引用 Wikipedia
アカシックレコード(イメージ図)
アカシックレコードとは、宇宙の始まりから終わり――過去から未来――に至るまで、森羅万象の情報・想念が記録されているという『世界記憶』の概念であり、言うなれば『精神世界の大図書館』です
『アカシック』とは、サンスクリット語で『虚空』を意味する『アーカーシャ(काश/ākāśa)』に由来する語であり、心理学者『カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)』が提唱した『集合的無意識』と同一視されることもあります。
古代の宗教儀式では、アーリア人社会における『ハオマ=ソーマ』のような麻薬的飲料が使用されることがありました。
おそらく暗示と薬物による意識変容により、超常的な世界の認識を試みたと思われますが、これがきっかけとなって実際にアカシックレコードに繋がる場合もあったかもしれません。
●画像引用 SHOPCHUN
Time Control(左)
Seiza the Time(右)
画像はイルミナティカード『Time Control(タイムコントロール)』と『Seize the Time!(時を掴め!)』です。
時間に関わるこの2つのカードには、いずれも『剣』が描かれています。
この『剣』には、一体どんな意味があるのでしょうか……?
●画像引用 STEVE JACKSON GAMES
先に自分の見解を言ってしまうと、『ジャムシードの聖杯』の元ネタは、ゾロアスター教において重要視される神酒『ハオマ』――あるいはそれを飲む儀式で使われた杯――のことだったと思われます。
つまり、重要なのは(杯というよりも)飲料なのです。
前章で述べた通り、『ジャムシードの聖杯』は『不老不死の霊薬』で満たされていたそうですが、ハオマも『不老不死の霊薬』といわれ、インド方面では『ソーマ』と呼ばれていました――この2つの飲料は同一の起源なのです。
アーリア人の宗教を語る上で『ハオマ=ソーマ』は欠かせません。
聖典アヴェスターを構成する1つ――『ヤスナ(祭儀書)』には、以下のようなハオマの効能が書かれています。
●治癒効果を促進する。
●性的興奮を促進する。
●肉体を強化する。
●注意力と認識能力を高める。
●そのエキスは緩やかな酔いをもたらし、副作用無しで飲むことができる。
●魂にとって最も栄養がある。
同質の飲料であるため、インドにおけるソーマも似たような効能が伝えられています。
インドラをはじめとする(バラモン教の)神々は活力を得るために、そして詩人は霊感を得るためにこれを飲んだそうです。
ソーマは、インド最古の宗教文献『リグ・ヴェーダ(神々への讃歌集)』の作成にも影響を与えたことでしょう。
上記のことを示しているのか、リグ・ヴェーダの第9巻全体がソーマの讃歌で構成されており、その重要性が窺えます。
ここまで書けば、賢明な読者の方はすでにお気づきかもしれませんが、『ハオマ=ソーマ』とは一種の麻薬的な飲料であり、飲んだ者には高揚感や幻覚作用をもたらしたようです。
ハオマの元となる植物(ハオマ草)〈注7〉は、各研究者により色々と考察されていますが、未だ特定されていません。
ハオマが起源だとすれば、『ジャムシードの聖杯』とは、アーリア人の祭司たちが薬物を通じて幻覚を見たことを比喩的に表現した物語ともいえるでしょう。
このような言い方をすると、「神々の世界は幻覚である」と主張〈注8〉しているように見えますが、特定の薬物と儀式を組み合わせることにより、本当に超常的な認識能力を発揮していた可能性もあります。
少なくとも、ゾロアスター教の祭司『マギ』とバラモン教の祭司『ブラーフマナ(バラモン)』が、古代イラン・インドにおける知識階級だったのは事実です(なお、『マギ(magi)』は英語の『magic(魔術・奇術)』の語源となりました)。
近代神智学(あるいはスピリチュアル)的な言い方をするなら、『アカシックレコード〈注:左画像参照〉』に繋がるための方法として、ハオマのような麻薬的飲料が用いられたのかもしれません。
ハオマやソーマと類似する飲料の伝説は、他のインド・ヨーロッパ語族の神話でも伝わっており、ギリシア神話では『ネクタル』、北欧神話では『詩の蜜酒』と呼ばれていました。
インド・ヨーロッパ語族以外の伝承では、中国では『西王母の不死の薬』、日本では『変若水(みちみず)』があります。
『変若水』は日本神話の月神『ツクヨミ(月読命)』と関連付けられていますが、インド神話のソーマも月がその『杯』と見なされており、やがてソーマは月神『チャンドラ』と同一視されるようになりました。
また、『西王母の不死の薬』も月と結び付けられています。
『淮南子(えなんじ)』では「姮娥(じょうが)という元仙女が、西王母が所持していた不死の薬を盗み、月へと逃げた」と記されているそうです。
時系列で考えるなら、上記の神話はインドのソーマに纏わる伝承が中国と日本に伝播し、作られたのかもしれません。
さて、なぜブログ主が聖杯、そしてそのルーツと思われる『ハオマ(麻薬的飲料)』の話を取り上げたかというと、これこそが、ビル・ウッドが語っていた『ルッキンググラス』の正体に関係しているのではないかと考えたからです。
『その1(タイムコントロールと有翼円盤)』の記事でも紹介した時間干渉を表わすイルミナティカード――『Time Control(タイムコントロール)』には、タイムマシン(機械)による時間移動ではなく、薬物使用による『トリップ(サイケデリック体験)』が示唆されていました。
このカードには、有翼の時計が描かれており、時計部分には『剣』が突き刺さっています。
時間に関わるイルミナティカードとしては、他に『Seize the Time!(時を掴め!)』があり、こちらには『血塗られた剣』が描かれています。
なぜ、時間に関わるカードに『剣』が加えられたのでしょうか。
もし、これらのイルミナティカードに意味があるとしたら、地球外生命体(宇宙人)、時間移動、そして悪魔崇拝という(SFとオカルトが入り混じった)陰謀論のキーワードを繋ぐことも可能となります。
そこから推測される『ルッキンググラス・プロジェクト』の実態には、(陰謀論で語られるような)ハイテク性はありません――逆に極めて古臭く、悍ましい儀式が浮かび上がってくるのです。
【注釈 7~8】
■注7 ハオマの元となる植物(ハオマ草)
ハオマとソーマの原料は未だ特定されていないが、(ソーマの原料としては)ベニテングタケや大麻などの説が提示されている。
現在ではベニテングタケ説は否定される傾向にあるものの、これらの飲料がなんらかの薬物であることは間違いないと思われる。
ハオマの原料は早くから実物が手に入らなくなっていたようであり、儀式では『ザクロの枝』などで代用されていた。
この謎を解き明かす鍵は、ハオマが『生命の木(ガオケレナ)』の実から作られたという伝承にあるのかもしれない。
■注8 「神々の世界は幻覚である」と主張
現代であれば、上記のような説を唱える学者も少なくないだろうが、古代ではどうだろうか。
この例として仏教を見てみよう。
仏教の開祖『ゴータマ・シッダッタ(ブッダ)』は、無神論者だったといわれることがある。
明治以降の近代仏教学においては、上記のブッダ像が重要視されていたようであり、「仏教はキリスト教のような神観念を持たない宗教である」というのが信条とされていたとか。
この説が正しいかどうかはともかく、少なくともブッダがバラモン教ほど神々を重要視しなかったのは確かだろう。
ブッダは無神論者だと仮定した場合、そうなった理由は、バラモン教の祭司たちが語る神々の正体が(ソーマのような)麻薬的飲料により認識された幻覚だと思っていたからかもしれない。
※なお、ブッダは大麻を吸っていたという話もある(古代インドでは大麻は薬草扱い)。
もっとも、原始仏教においても神々のことは言及されているので、ブッダ(及び原始仏教の僧侶たち)は近世哲学的な意味での無神論者ではなかったと思われる。
人間を超える超自然的な存在『デーヴァ(インドの神々)』のことを認めつつも、それらは人間と同じく不完全であり、一部のデーヴァは――ブッダの成道を邪魔したマーラのように――悪魔的な性質を持っていると、ブッダは認識していたのではないだろうか。
秘儀と超越
Conspiracy Theorists(陰謀論者)
画像はイルミナティカード『Conspiracy Theorists(陰謀論者)』です。
これには間違いなくブログ主も含まれるでしょう(笑)。
カード文には以下のことが書かれています。
This powerless and much-mocked group is prized by the Illuminati, because their wild ravings often contain useful ideals!
この無力で多くの人々にバカにされる連中は、イルミナティに珍重されている。なぜなら、彼らの荒唐無稽な戯言には、役に立つ理想も少なからず含まれているからだ!
意味深な内容ですね。
陰謀論者の中には『突飛で壮大な説』を語る者たちもいますが、彼らの声が大きいほど、真実に近い(かもしれない)意見のインパクトは弱まります。
トランプ元大統領を支援した『Qアノン』、そして(言うまでもなく)このブログ『𒀭Sky Orackle』の管理者も、『真の陰謀』を晦ますことに貢献しているのかもしれません。
(おいおい…… \( ̄∀ ̄*) )
●画像引用 STEVE JACKSON GAMES
エプスタイン島のオカルト的意匠
画像は、リトル・セント・ジェームズ島(通称:エプスタイン島)にあったオカルト的デザインの建造物です。
左上は『中東風の神殿らしき建物』、左下が『人の顔が描かれたストーンサークル状の日時計』、右が『ケルト十字の広場(?)』です。
これだけでも、エプスタインという人物――あるいは彼の側近(?)――にかなりのオカルト的な知識があったことが推測できます。
●画像引用 Montauk Boy(Youtube)
フリーメイソンの太陽のシンボル
リトル・セント・ジェームズ島(通称:エプスタイン島)にあった『顔が描かれた日時計』は、実は『フリーメイソン(団体名としてはフリーメイソンリー)』における太陽のシンボルと酷似しています。
また、エプスタイン島の日時計を取り囲むストーンサークル(環状列石)にも、日時計の役割と太陽崇拝が関係しているという説があります。
『フリーメイソンシンボル事典』の著者である『ロバート・ロマス(Robert Lomas)』は、同著書において以下のことを述べていました。
メイソンリーの太陽はメイソンの魂の象徴する――我々各自の中にある広大な領域である。
それは時空を超越し、世俗の人格という暗い牢獄を超えた陽光の中に生きる。
死を超越した魂こそ、あらゆる人間の中にある永遠不滅の原理である。
エプスタインは、フリーメイソンの思想を理解した上で自分の島に太陽のシンボルを造ったのでしょうか……。
●画像引用 フリーメイソンシンボル事典
ケルト十字と太陽崇拝
画像の左上が『ケルト十字』、右上が『薔薇十字』、下が『太陽十字』の車輪型ペンダントです。
エプスタイン島には『ケルト十字』らしきシンボルもありました。
この『ケルト十字』とは、元々『太陽十字』と呼ばれる太陽のシンボルをルーツとしています。
しかも、ケルト十字はフリーメイソンの関連団体といわれる『黄金の夜明け団』のシンボル『薔薇十字』のデザインの元になったと思われます。
エプスタインがフリーメイソンのメンバーだったかどうかは不明ですが、少なくとも彼の島には太陽崇拝に関係するシンボルが見られるのは確実のようです。
●画像引用 Wikipedia
生命の木と太陽神
エプスタイン島と太陽崇拝の関係を考察する上で、さらに興味深い情報がありました。
画像は、左上がメソポタミアの太陽神『シャマシュ』、右上がアッシリア版の『生命の木』、左下がシャマシュのシンボルである『四芒星』のイラスト、右下が『太陽の十字』のアクセサリーです。
厳密な形には違いがあるものの、(シュメール時代から始まる)メソポタミアの『生命の木』は概ねこのような『型』――長い幹の最上部には『樹冠(樹冠の中央には『実』もあり?)』、その上には太陽神(シャマシュ)を配置――に基づいて描かれています。
この図像からわかる通り、『生命の木』と太陽神は密接な関係〈注13〉がありました。
新アッシリア帝国の王『アッシュル・ナツィルパル2世』の治世では、呪術的な彫刻には頻繁に『生命の木』が描かれたとか。
アッシリア学者の『シモ・ハルモラ(Simo Kaarlo Antero Parpola)』の説によると、画像のような『聖樹(生命の木)』は、メソポタミアの宗教において高度に秘密的な意義を有していたそうです。
先ほど『ケルト十字』のルーツが『太陽十字』であると言及しましたが、この形はシャマシュの『四芒星』とも類似しています。
なぜ、ここまで太陽(神)にかかわるシンボルがエプスタイン島にあったのでしょうか。
この島で行われていたという儀式は、大元を辿ればメソポタミアの秘儀に由来にしているということなのでしょうか。
メソポタミアの『生命の木』はナツメヤシを表わしているそうですが、呪術的象徴としてのナツメヤシは『別の何か』のメタファー〈注14〉とされているのでしょうか。
そういえば、アッシリアの『生命の木』は見ようによっては…………?
●画像引用 Wiipedia、ANCIENT TREASURES
陰謀論には大別して2つの系統があると、ブログ主は考えています
1つは『経済的・政治的な陰謀論』です――いわゆる「世界は国際金融資本に牛耳られている」という類の話ですね。
現代において『金(カネ)』――特に『通貨発行権』の威力は絶大です。
ヨーロッパの大財閥――『ロートシルト家(英語:ロスチャイルド家)』の基礎を築いた『マイアー・アムシェル・ロートシルト(Mayer Amschel Rothschild)』は、以下の言葉を残したとか。
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「一国の中央銀行を支配すればその国全体を支配できる」
「私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでもよい」
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マイアーの子孫はその教えを忠実に守ったのか、アメリカにおける設立当時の『FRB(Federal Reserve Bank/連邦準備銀行)』の株主には、ロスチャイルド銀行も含まれていました(おそらく現在も株主を継続中……)。
また、『ジョン・F・ケネディ(John Fitzgerald Kennedy)』はFRBの通貨発行権に手を付けようとしたので暗殺されたという話もありますね。
この種の陰謀論は複数の識者が研究しているので、一定の説得力はあるでしょう。
当然ながら、こちらの話には『UFO』などの超常的な要素は一切なく、あったとしても支配層が核心的な情報を晦ますために世間に流したフェイク情報として解釈されます。
『経済的・政治的な陰謀論』と並ぶもう1つは、『超常的な陰謀論』――悪魔崇拝などのオカルトからUFO(未確認飛行物体)などのSF的要素を含めた陰謀論――です。
こちらは国際金融資本の影響力は否定しないものの、その上位には『地球外生命体(宇宙人)』や『悪魔』が君臨――悪魔を崇拝するための行為として『人間を生贄に捧げる儀式』が行われているという話もあります。
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※オカルトを研究する者として、ブログ主は『悪魔』あるいは『悪魔崇拝』という言葉は余り好きでありません。
宗教的・政治的立場や各時代・各地域の社会通念によって神的存在の善悪は変わるためです。
ただ、陰謀論ではよく使われる用語なので、本記事でもこれで通します。
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以前のブログ主は、後者の陰謀論について半信半疑でした。
現代的な教養を持っているはずのエリートたちが、悪魔崇拝という『前時代的かつ怪しげな信仰』にこだわる理由をなかなか想像できなかったからです。
アングロサクソン・ミッションでも、地球外生命体やUFOの話が語られたの対し、悪魔崇拝のことは言及されませんでした。
ところが、この話に信憑性を与えたのが、2019年に報道された『ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Edward Epstein)』の事件です。
この事件では、児童人身売買の件だけでなく、児童の虐待や殺人、そして『子供を生贄に捧げる儀式』が行われていたという情報も拡散されました。
儀式に関連しているのか、リトル・セント・ジェームズ島(通称:エプスタイン島)――エプスタインが個人所有していた島―――には『神殿らしき建物』や『人の顔が描かれたストーンサークル状の日時計』、そして『ケルト十字を連想させる広場(?)』など、オカルト的デザインの建造物がありました〈注:左画像・左記事と『エプスタイン事件の考察』参照〉。
ただ、この事件によりブログ主はさらに首を傾げました。
『超常的な陰謀論』において、ブログ主が疑問に思っていたこと――それは、悪魔崇拝の件と合わせて地球外生命体(宇宙人)の存在も主張されていることです。
『悪魔崇拝というオカルト的な話』と『地球外生命体・UFOというSF的な話』が、一体どうやって両立するのでしょうか。
我々よりも遥かに優れた科学力を持っているはずの『地球外生命体』が、黒魔術の実践を人間に求めることなどあり得るのでしょうか。
この理由を考えるには、アングロサクソン・ミッションにて語られた情報が参考になるでしょう。
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●善意の地球外知的生命体は、スピリチュアル的に進化した存在である。
●私たちは、できる限り最高のスピリチュアル的見地に立って考えなくてはならない。
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アングロサクソン・ミッションでは『スピリチュアリティ(精神性)』が強調されていました。
明確に言及されていませんでしたが、支配層側にいる『悪意の地球外生命体』も霊的存在だとしたら、これと悪魔崇拝を関連付けることが可能となります。
要は「物は言いよう」です。
昔は『神(一神教視点では悪魔?)』と呼ばれていた者たちが、(宗教心が薄くなった)現代では『地球外生命体』と呼ばれる場合もあるというだけの話です。
『地球外生命体と支配層の関係』の本質は、古代文明の頃から変わらない『神と王の主従関係』であり、現代における『王権神授』といえなくもありません。
アングロサクソン・ミッションでは――
●この計画はまさに超人的レベルの高度な知能と戦略性、そして非常に冷酷であることが必要であり、人類の中から出てきたものではない。
――と、ビル・ライアン(アングロサクソン・ミッションのプレゼンター)の口から語られていました。
先述したことを踏まえて陰謀計画を考えるなら、それは支配層であるエリートたちが、自分たちの神から与えられた『預言(この場合は各種の陰謀)』を忠実に実行しようとしてきたという見方もできるでしょう。
上記の考え方に近いのが、イギリスの陰謀論者『デイヴィッド・ヴォーン・アイク(David Vaughan Icke)』のレプティリアン(爬虫類人)説です。
彼は、支配層がレプティリアン――別次元から来た霊的生命体――に支配・操作されていると主張しました。
その論拠は以下となります。
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●古代神話において『蛇神』を数多く見つけられること。
●現代においても爬虫類人の目撃情報が多数あること。
●アヤワスカ(幻覚剤)などの使用を通じて変性意識の状態になることにより、爬虫類人についての情報が得られること。
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つまり、アイクが言う『別次元から来た霊的生命体』とは、古代神話における神々のことであり、古代人は薬物を通じて彼らと交流していたということにもなります。
このような神々へのアプローチは、前章における『ハオマ=ソーマ』の事例がある通り、古代においては割と一般的な方法だったと思われます。
現代では、神的世界が人間の空想の産物であると思っている人々も少なくないでしょうが、古代人(特に神官たち)には(上記の方法により)神々は現実感のある身近な存在だったのです。
さて、話を支配層の悪魔崇拝に戻します。
先述した通り、陰謀論界隈ではエプスタイン島にて凄惨な儀式が行われたと噂されています。
それは、古代パレスチナや古代ケルトで実践されていた恐ろしい儀式の再現〈注9〉ともいえる行為です。
この事件に関連し、陰謀論界隈で知られるようになったのが『アドレノクロム』という成分です。
(未確定情報ながら)このアドレノクロムは子供の松果体から取れ、『若返り』の効果があるといわれています。
また、アドレノクロムの分子構造がウサギ型になっているので、これを求める常連客の間では『白ウサギ〈注10〉』という隠語が使われているとか。
このアドレノクロムにはもう1つの重要な効果――異世界体験をさせる幻覚作用があるとも噂されています。
つまり、古代人が神々と出会うために用いたと思われる方法――『儀式』と『薬物』――がこの場合でも用意されているというわけです。
実際のところ、アドレノクロムに上記のような成分があるかどうかは不明ですが、エプスタイン事件で伝えられる拷問・殺人・食人などの情報は常軌を逸しています。
事件の過程において、なんらかの薬物が使用された可能性は少なくないでしょう。
また、エプスタイン事件は先ほど紹介したイルミナティカード――『Time Control(タイムコントロール)』と『Seize the Time!(時を掴め!)』――との関連も窺わせます。
『Seize the Time!(時を掴め!)』において『血塗られた剣』が描かれていたのも、この世を超越した(過去から未来までを見通す)時間認識に至るトリップをするためには、人体を切り裂く『血の儀式〈注11〉』が必要であることを暗示しているのかもしれません(その成果がアドレノクロムかどうかはともかく)。
仮に上記の『エプスタイン事件と儀式を結び付ける話』が事実だとしたら、「(エプスタイン島に出入りしていた)支配層がルッキンググラスを使用したこと」と同じ状況になります。
儀式の時に見た幻覚が、本当に太古の過去や未来のことなのかどうかは、さして重要ではありません。
儀式に参加した者たち(支配層)がそうだと思ったのなら、彼らが大それた行動を起こすための『動機』と成り得るからです。
そして、(未来の方については)幻覚通りに物事が進行すれば、彼らはそれを真実だと確信することでしょう。
支配層が『各種の陰謀を仕掛ける順番』を重要視していること、そして『地殻大変動(として表現される現象)』について認識していること――アングロサクソン・ミッションにて語られたこれらの話の理由についても、上記で一応の説明はつきます。
また、陰謀論で見過ごされがちなのが、呪術そのものの効力です。
未来を予知し、その情報に基づいて対策を練るだけでは、運命が好転するとは限りません。
『その12』の記事で取り上げたニーチェの思想『永劫回帰』やインド哲学の『カルパ』と全く同じとは言いませんが、『世界のカルマ(業)を支配する運命的な呪縛/事象を決まった歴史通りに進ませるようとする強制力』が存在しているとすれば、『(支配層が)望ましい未来に至るための運氣(運命に干渉する超常的権力)』も必要となります。
レプティリアンとされる地球外生命体の正体が、古代から崇拝されてきた『絶大な権能を持つ神々』と同じだったとしら、そうした『天命』も(ある程度までは)保証してくれるかもしれなせん。
科学的には説明が付かなくても、そうした呪術的パワーを実際に体感〈注12〉しているこそ、支配層は残酷な儀式を実践しているのではないでしょうか――陰謀論における悪魔崇拝の話が事実であれば、このことが『第1の理由』として相応しいと思われます。
そして、(使い走りのエプスタインはともかく)支配層の中枢メンバーがどんなに悪行を積み重ねても、未だその罪が裁かれていないのは、儀式による呪力の証明なのかもしれません……。
まあ、上記の論理だと「この世界に正義の神はいないのか!?」――ということになってしまいますね。
ただ、人間の歴史を振り返れば、少なくとも「現代人のような道徳性を持った神は皆無である」と考えた方が、理屈としては矛盾が少ないでしょう。
では、今回はここまです。
次回は 「UFOとは何か」について考察したいと思います。
『ルッキンググラス』の正体が『薬物トリップを伴う呪術的儀式』だった場合、それとロズウェル事件のUFOを直接的に結び付けることはできません。
地球外生命体については『霊的存在』として解釈すれば辻褄を合わせることができますが、『物理的な飛行物体としてのUFO』はそうもいかないのです。
これらは一体どのような関連性を持つのでしょうか?
【注釈 9~14】
■注9 古代パレスチナや古代ケルトで実践されていた恐ろしい儀式の再現
エプスタイン島には1000人以上の子供が連れていかれ、そこで子供たちは性的奉仕をさせられただけでなく、拷問・殺人の被害に遭い、挙句の果てに「(文字通りの意味で)その肉を食われた」ともいわれている。
これには(猟奇的な快楽を求めるだけではなく)悪魔崇拝も関連し、呪術的儀式と併せて『若返り』の効果があると噂されるエキス――『アドレノクロム』の採取もされていたとか。
アドレノクロムは、人体で生成されるアドレナリンが酸化して生成される化合物であり、子供の松果体から取れるという。
良質なアドレノクロムを生成するためには、事前に子供を虐待して苦しめる必要があるらしく、人身売買に巻き込まれた子供たちの悲惨な話がインターネット(SNSやブログなど)を通じて知られるようになった。
陰謀論としてのアドレノクロムの情報が一般に知られるようになったのは割と近年(ここ2~3年以内)の話だが、支配層が悪魔崇拝と『吸血の儀式』を行っているという話は、20世紀の頃から陰謀論関係の書籍で言及されていた。
また、アドレノクロムの発見は1937年とされているが、吸血や食人を伴う生贄の儀式は古代より行われていた。
とりわけ、古代パレスチナや北アフリカに勢力を広げたフェニキア人(カナン人)と、(古代ローマに征服されるまで)古代ヨーロッパの主導的な民族だったケルト人の社会において、人身御供が盛んだったことが知られている。
なお、カルタゴにいたフェニキア人は、後にヴェネツィアを拠点とする金融勢力『黒い貴族』となり、彼らがイルミナティ(支配層)の先祖になったという話もある。
■注10 白ウサギ
『若さ』をもたらすエキス『アドレノクロム』は分子構造がウサギ型になっているが、奇妙なことに世界各地で知られたウサギの伝承にも『不老不死』が絡んでいる。
これは月の影の模様がウサギの形に見えるためと考えられており、「月には兎がいる」という伝承はアジア各地やアメリカ先住民族の間で言い伝えられてきた。
一方、神話・伝承において『月』が『不老不死の霊薬』と関係があることは、本記事(『聖杯の正体』)でも言及した。
月を通じてウサギと霊薬の話が組み合わさったのか、中国では「月にいるウサギが、不老不死の霊薬の材料を臼を打って粉にしている」という伝承もある。
アドレノクロムに纏わる話が真実なら、白ウサギは隠語として適切といえるが、これだと緩いファンタジーともいえる上記の伝承が残酷な意味として受け取られてしまうかもしれない。
※不老不死の霊薬=アドレノクロム、材料=子供、臼を打って粉にしている=良質なアドレノクロムを生成するための虐待――と解釈したら……(こんな風に想像してしまうのはブログ主だけか)。
■注11 血の儀式
イルミナティから虐待(多重人格になるプログラム)を受けていたという『シスコ・ウィーラー』という女性の話では、イルミナティで行われる最も邪悪な儀式の1つ――『血を飲む儀式』のこと――が『グレイル(杯)』と呼ばれていたようである。
このことは、イルミナティカード『The Holy Grail(聖杯)』とも関係しているのだろうか……。
■注12 呪術的パワーを実際に体感
『プロジェクト・キャメット』の動画『Above & Beyond Project Looking Glass』において、『ルッキンググラス・プロジェクト』について語ったビル・ウッドは、同時に『スターゲート・プロジェクト』のことも言及していた。
スターゲート・プロジェクトの方は割と知られており、この計画では軍事作戦において『遠隔透視能力(リモート・ヴューイング)』の使用を試みようとした――要は、超能力を戦争に取り入れようとしたわけである。
1995年に同プロジェクトは『CIA』に移管され、「成果無し」と総括された上で終結したというのが『公式の発表』とされている。
近現代になるまで超能力は呪術・神秘主義と結び付いていたが、超能力を実験対象にするくらいなら、呪術も同様に実験していたとしても不思議ではない(?)。
※もっとも、陰謀論に纏わる呪術(悪魔崇拝の儀式)の話は、『CIAの創設』どころか『アメリカの建国』よりも遥か以前にまで遡るが。
■注13 『生命の木』と太陽神は密接な関係
メソポタミアにおける『生命の木(ナツメヤシ)』は、太陽神『シャマシュ(シュメール名:ウトゥ)』の他に豊穣の女神『イシュタル(シュメール名:イナンナ)』とも密接に結びついていた。
シャマシュとイシュタルは共に月神『シン(シュメール名:ナンナ)』の子であり、双子の兄妹である。
両神には『生命の木に纏わる神話』があり、それが『生命の木』の彫刻において取り上げられた理由かもしれない。
■注14 呪術的象徴としてのナツメヤシは『別の何か』のメタファー
古代では、人間が望んでも得られない『永遠の生命』を表わすものとして『木』が選ばれた。
博物学者の『ジャック・ブロス(Jacques Brosse)』によると、『樹液』が『人間の血液』、冬期になり『葉の落ちた樹木』が『人間の骸骨』に似ることから、落葉樹が『連続する死と再生のサイクル』を象徴するという。
それに対し、ナツメヤシは常緑樹であるため、メソポタミア文明では『永遠の生命』を表わすとされた。
また、ナツメヤシはメソポタミアの人々にとって貴重な食料にもなる――その結果として人間の生命にもなる――ほど生活に密着していたこと、そして人間に似た『雌雄性(雌雄異株)』があることも、この木が『生命の木』とされる要因になったと、ブロスは主張した。
呪術の世界において、『アナロジー(類推・類比)』と『メタファー(比喩・隠喩)』による対応(結び付き)は重要である。
ナツメヤシと人間は『アナロジー(類推・類比)』により対応させられる関係となるが、人間にはナツメヤシに見られる『不死性』や『再生力』はない。
その一方で、ナツメヤシと人間には『類似しつつも異なる性質』がある――このことが、人間とナツメヤシを同一視する上での重要な呪術的意味となる。
両者を同一視する呪術的儀式は、これを通じて(人間と類似した)ナツメヤシの性質を取り込むことにより、人間が(ナツメヤシに見られる)不死性を獲得しようとする試みとなり得るからだ。
メソポタミア文明において、ナツメヤシに由来する『生命の木』が呪術的な秘儀とされたのは、上記のことに関係しているのかもしれない。
つまり、メソポタミアの彫刻に描かれた『生命の木』は、実際には(呪術的儀式においてナツメヤシと見なされた)人間の生贄である可能性も考えられるのだ。
この場合、『生命の木』は体が切り開かれた人間――樹冠は人間の脳、幹は脊椎、左右に伸びる枝は『人間の肋骨・血管・神経』など――を象徴しているといえるだろう。
※なお、小脳の白質は樹木に類似した分岐構造から『小脳活樹(生命の木/arbor vitae)』と呼ばれている。
そして、『生命の木の実』が脳の最奥にある『松果体』を象徴しているとしたら、古代メソポタミアの神官たちは、現代の陰謀論で噂されている儀式をすでに実践していたことになる。
※『ナツメヤシ(不死性を持った木)と同一視された人間の生贄』の一部(松果体のエキス?)を取り込むことにより、自身も不死性を獲得しようとすること。
上記の仮定で話を進めると、これこそが支配層が古代メソポタミアが続く儀式を受け継いでいるという話の大元の由来かもしれない。
また、(松果体から採取した)アドレノクロム――あるいはその他の成分――に時空を超えた神々の世界を認識させる効能まであるとしたら、シュメールから始まるこの地域の文明が古代ではあり得ないほど高度だった理由も考えられるのだ。
この場合、「地球外からUFOに乗ってきた宇宙人が人類に文明を伝えた」という『大掛かりな装置(飛行物体)を含む話』を持ち出す必要はない。
人間の生贄から採取できる『松果体』と『特定の儀式』を通じたトリップにより、古代の神官や王は『爬虫類人(レプティリアン)』や『鳥頭人』と出会い、異なる時空に存在する『自分たち(古代人)の社会よりも高度な文明世界』を認識し、自分たち(古代人)でも再現できそうな物(文明の利器や芸術品など)を作っていったという『因果関係』が成立するからである。
これまで述べたことを参考にして、アーリア人の伝承で伝えられる『不老不死の霊薬(ハオマ=ソーマ)』の原料について考えてみると、こちらにも『人間』が関係しているかもしれない。
戯れに以下の仮説を立ててみた。
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①メソポタミアの秘儀がこの地域の国家崩壊などを要因としてその情報が流出――(ゾロアスター教が成立する以前の)最初期のアーリア人に伝わり、メソポタミアの儀式と同様の方法で『(最初の)ハオマ=ソーマ』が作られた。
祭司が最も強烈な神秘体験をしたのはこの儀式の時であり、後の『ガオケレナ(イラン神話の『生命の木』)』伝承の由来となった。
②アーリア人がインドとイランに分化するに連れて秘儀の記憶が薄れていったためか、あるいは残酷な方法を倦厭に思うようになったためか、儀式において、人間の生贄の代わりに麻薬性の植物も用いられるようになり、やがてこれが主流となった(麻薬性の植物でもトリップができたため)。
③さらに時代が進み、儀式が形骸化――麻薬性の植物の代わりに『ザクロの枝』などが(ゾロアスター教では)使用されるようになった。
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この説はあくまでブログ主の妄想だが、イランとメソポタミアの『生命の木』を結び付けて考えると、様々な可能性が浮かび上がってくるだろう。
■参考文献
●ILLUMINATI New World Order STEVE JACKSON GAMES
●Cannabis and the Soma Solution 著者: Chris Bennett
●王書(古代ペルシャの神話・伝説) フェルドウスィー 著、岡田恵美子 翻訳
●ルバイヤート ウマル・ハイヤーム 著 小川亮作 訳 岩波文庫
●フリーメイソン・シンボル事典 ロバート・ロマス 著 松田和也 翻訳 学研
●The Zend Avesta, Part I The Vendîdâd(English Edition) Friedrich Max Müller 著 James Darmesteter 英訳
●原典完訳 アヴェスタ: ゾロアスター教の聖典 野田恵剛 翻訳 国書刊行会
●The ṚIGVEDA SAṂHITĀ Ralph T. H. Griffith 翻訳 Jon W. Fergus 編集
●リグ・ヴェーダ讃歌 辻 直四郎 訳 岩波文庫
●ヒンドゥーの神々 立川武蔵・石黒淳・菱田邦男・島岩 共著 せりか書房
●インド宇宙論大全 定方晟 著 春秋社
●アーリヤの男性結社―スティグ・ヴィカンデル論文集
スティグ・ヴィカンデル 著、前田耕作 編集、 Stig Wikander 原著、檜枝陽一郎 訳、与那覇豊 訳、中村忠男 訳 言叢社
●古代オリエント集(筑摩世界文學体系1) 筑摩書房
●古代メソポタミアの神々 集英社
●和訳 金剛頂経 津田真一 編著 東京美術
●多重人格はこうして作られる シスコ ウィーラー 、 フリッツ・スプリングマイヤー 著 小谷まさ代 訳 徳間書店
●ペルシア文学におけるジャムの酒杯 黒柳恒男 著 論文
●木のイメージの変遷に見るアナロジーの展開 山田仁子 著 論文
●ナツメヤシの図像と意味 前田龍彦 論文
■参考サイト
●AlphaZebra(Youtube) ※アングロサクソン・ミッションの動画
●アングロサクソン・ ミッション ビル・ライアン プレゼンテーション原稿
●アングロサクソン・ミッション:証言者オーディオ・インタビュー原稿
●Wikipedia
●WIKIBOOKS
●Wikiwand
●ニコニコ大百科
●ピクシブ百科事典
●コトバンク
●goo辞書
●アナザーテイル
●幻想世界・神話辞典
●ツァラトゥストラの世界
●Scalar
●年中ハッピー!くらしに役立つ便利手帳
●Grimorio de bestias
●勝手にFate考察
●SHOPCHUN
●Montauk Boy(Youtube)
●ANCIENT TREASURES
●Avant d’oublier
●ピロ魂!
●NewsCrunch
●Yuki life blog♪
●TOCANA
●看護roo! カンゴルー
●医療総合サイトQLife